男はなにも言わず部屋を出ていった。
*
嫌がる女を犯すことが楽しいのだろうか、ただ辱めるだけの淫具をはじめて見た。
男は相変わらず座ったままだ、用意された男は、いかにも女に飢えたような男が用意された。
言われるがまま後ろ手に縛られるなり、無造作に寝転んだ。
挑発するように大きく股を開いた、早く終わって欲しい。
触れられるたびに鳥肌が立つ、この男もまた下半身にしか興味を抱かない。
荒々しくショーツを脱がされるなり、下半身が丸裸になった、煌々と照らされるリビングの明かりを見つめながら小さく呻いた。
呻くたびにリードが引かれる、快楽さえ男のものだ。
男の目を見ながら、喘ぐしかなかった、欲しくなくても気持ちよくなってしまう。
気持ちよくされたなら喘ぐしかない、それが淫具だ。
用意された男は執拗なほどに責めてくる、かぶりを振って拒むしかない。
茂みの奥を掻い潜るかのように乾いた茂みに雨が降る。
季節はずれの雨だと女は言い聞かせた。
男が態々用意した男だ、そうは簡単にいかないだろう。
ねっとり、緩やかに強かだ。
用意された男そのものが淫具だと気づいた。
思わず閉じようとする足に縄が通された、閉じることを忘れた両足が、だらりと床に転がった。
仰け反るように思わず天上の明かりを見つめた、冷たい雨が今なら、まさに今が積雪のように思えてくる。
拒みはけして届かないだろう、呻くように目を閉じた、剃毛を見る男の目は相変わらず冷たいままだ。
積雪を覚えるような冷たい刃が新芽をあらわにしていく。
すべてが丸裸になった、もうこれ以上ないと思えた行為には次ばかりがある。
潜り込んだ反応を窺う指が痛い、男との性交の激しさを思い返すほどに痛いだけだ。
昨日の今頃に抱かれていた女が次の男を相手にする、それを疑問視しないのが、この男だ、モラルも快楽さえ、この男には通用しないのだろう。
欲しくも無い男から与えられる快楽は苦痛だ、今にも突き放したくなる。
女は男の目をしっかりと見るたびに、違うと思った。
目を閉じていれば違うことを考えられた、目を開けているから苦しいのだ。
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