怨憎会 出版化決定 - 1ページ目75 - SM小説 異端者

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怨憎会

「くそっ!!」  怒り任せに聡はテーブルを叩いた。  結納が近づいた蝉時雨。  本当なら、いまが一番、二人にとって楽しい時期なはずだった。  別れは突然訪れた。 「ごめんなさい。好きなひとがいるの」  前々から不自然だと思うことがあった。それでも聡は千尋を信じてきた。  一年前、忘年会で千尋と聡は偶然、同席した。前々から気になっていた千尋だけに聡は酔いも手伝って夢中でジョークを投げか...

怨憎会 2

 聡は自分のなかで女性の幻想をできるだけ創り上げないように努力してきた。  外見に振り回されず結婚を意識すれば性格が重要視される。  それに外見の好みが重なれば、これほど嬉しいことはない。  聡の願い、願望そのものが千尋だった。 「よかったら、僕と付き合ってください。ずっと千尋ちゃんが好きでした」  閉店とともに千尋と聡は店をでた。  タクシー乗り場で聡は意を決し、ついに千尋に告白した...

怨憎会 3

 嘘が上手い女ほど、のさばるものだ。  千尋の作戦は想像以上に大成功した。 「結婚したら博に会えなくなっちゃうね」  廊下で千尋は博とすれ違うと博から声をかけてきた。  噂は「本当なのか?」問いかけてきた博に千尋は「本当はね、聡のことなんてどうだっていいの。でも博より先に結婚しないと堪えられない。私、辛くて死んじゃうかも知れない。それって一番、迷惑なことだもの」  少し考え込むと博は「ま...

怨憎会 4

 聡はこの場から逃げるように部署をでた。今までのことはなんだったんだ。  ホテルどころかキスすら千尋は今まで応じてくれなかった。  千尋に愛憎を通り越した殺意が浮かぶ。  聡は部署に戻ることもできず彷徨うように街中を歩いた。  なんどか会社から着信があったが聡はでない。  このまま、あの二人が幸せになるなんて絶対に認めるものか。  聡の脳裏に報復の文字が浮かぶ。 「よお、兄弟」  ...

怨憎会 5

 聡は尾田が言う住所をメモすると酔いが残る頭で車を運転する。  廃墟と化したラブホテルに急いで聡は向かう。すぐに金が渡せるように事前に300万円を容易しておいた。  カーナビを頼りに聡はひたすら車で走り続ける。  インターを降りて山中近くに差し掛かったところで尾田が指定する廃墟がみえてきた。  車が数台止められている。  聡が車を止めると一人の男がでてきた。  余計な事は一切「話すな」...