異端者 獲物 完結

獲物

2009/01/09 09:52

 プリクラ風に加工した画像を貼り付けてみた、まるでネットアイドルな気分が一瞬にして暗転する。

 

 面白いぐらいに届く着信を見るたびに智香と笑いあった。

 

 約束の時間、

 智香と二人してバカな男の写真を遠くから写した。

 

 見つからない悪戯は止め処ないほどに溢れてくる、二人だけの秘密、智香と二人して、ブログを作るなり「獲物」と称したバカな男たちをコメントつきで公開しては届くコメントに小躍りさえ覚えた。

 

 誰でもやっていること、罪悪感の欠片さえも感じないほどに入学が決まるなり買って貰った携帯電話が友達を面白いぐらい増やしてもいった。

 

 もし、あの日を後悔するなら有頂天になっていた自分を諌めるぐらいだろうか。

 自慢げに教えたブログが話題を呼び、アクセスは膨れ上がるばかりだった。

 

 名ばかりの部活動、

 母親に携帯電話を買って貰う約束が、ずっと続けているバレーボールを続けることだった。

 

 入学当時は緊張していた部活動もいつしか慣れていった、上下関係の先輩後輩も思ったより厳しくはない。

 

 話題はもっぱら携帯電話だった。

 

 次から次へと届くコメントに不可解な視線が絡みつく、慌てて削除しても届く個人情報。なんど書き込みを禁止しても届いてしまう不気味な足音をあの日聞いてしまった。

 

 いつだってブログを書き込みのは私、智香は見て楽しんでいたはずなのに、とつぜん疎遠になった。

 

 理由はわからない、

 ただ話しかけても、生返事を返すだけで理由はわからないままだ、だからと言ってイジメられている訳でもなかった。

 

 智香を除けば、日々更新を楽しみにしてくれるクラスメートばかりだ。

 

 その真実が夏休みを境に姿を現した。

 

 コメントは直ぐに削除していたから気にはしなかった、そのせいか、個人情報を書き込まれることもなくなった代わりに、携帯電話のメールアドレスに届く、自分の画像に戦慄さえ走った。

 

「なにこれ」

 

 なんど削除しても日々届く隠し撮りされた自分の画像に薄気味悪さが募った。

 まるで謎解きのように届くコメントさえ、また届くようになる。

 

「ね、智香」


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獲物 2

2009/01/09 09:58

 思い切って智香を呼び止めた、まるで汚いものを見るような眼つきだ。

 

「なにか文句でもあるの?」

 

 まるで智香を悪者のように言った自分も悪かった、だけど智香は裏切った。

 部活動の帰り、話があると薄暗い体育館のなかで呼び止められた。

 

「来て」

 

 まるで周りを窺う眼に、かぶりを振ると智香は嫌な顔をした。

 

「退学でもいいんだ」

 

 まるで友達を売るような眼つき、

 

「どう言うこと?」

 

 辺りに漂う険悪な雰囲気に部活動のメンバーは逃げるようにして帰っていった。

 

「ちょっと」

 

 呼び止める声など聞こえない振り、みんな冷たい、都合のいいときだけの友達だ

 

「バーカ」

 

 とつぜん智香がそう言うなり、突き飛ばされた。

 

「写した画像を見てなかったんだ」

 

 ふと振り返ると、見慣れた顔、言うまでもなく見覚えがあった。

 

 声がでない、

 震えた足が遠のいていく智香を追えない。

 

「待って」

 

 精一杯の声が痛みに変った、掴まれた腕が体育館倉庫にへと足を向ける。

 

「君だったんだね」

 

 元卒業生の先輩だ、ときどきコーチ代わりに来てくれるだけの社会人。

 

 すごい力だと思った、

 抵抗したら、どれほど殴られるのだろうか、か細いまでの声で制止をするのが精一杯だ。

 

 後ろ手に手錠を掛けられるなり、あらかじめ用意されていたようなパイプ椅子に座らされた。

 

「声を出してもいいんだよ」

 

 風体の悪い男が、さも息苦しそうに熱気の篭った体育館倉庫にいることに気づいた瞬間だ。

 怖くて声が出せない、殺気の篭った怒声に下半身が丸裸にされていく。

 

 はじめて見る隆起したペニス、押し開かれた両足に始めてすべてを悟った。

 

「本当に初めてだったんだ」

 

 屈みこんだ男が、きつそうに挿入を試みるたびにシャッターが切られていく。

 

 まるで口のなかに柄を差し込まれる違和感、焼けるような痛さと軋むバイプ椅子が今にも崩れ落ちそうだ。

 

「そのまま、いいよ」

 

 思わず声が上ずった、白む意識に眩いほどのストロボがほとばしる。

 抜かれては差し込まれるペニスが息苦しいほどに焼けそうだ。

 

「やめて」

 

 我に返るように声をだした、叩きつけられた体操用マットの上で両足を開かされる。


獲物 3

2009/01/09 15:57

「ご気分はどう? 痛くて声も出せなかっただろう」

 

 ただの出会い系サイトだったはずだ。

 

「智香が教えてくれたんだ、たんと小遣いをやったら喜んでいたよ」

 

「嘘」

 

 狩る側からか狩られる側への転落、名前さえ知らない先輩なのに。

 

「信じられないなら聞いてごらん、斡旋よりも儲かるから」

 

「儲かる――」

 

「そう」

 

 意味深なまでの頷き、ここに来ていた理由がようやくわかった。

 

「セックスは気持ちがいいよ」

 

 顔を顰めるたびにシャッターが切られる、できるだけ無表情な反抗でさえ、軽々と打ち砕かれていくようだ。


 ざくろのように流血を帯びた無残な開脚姿を目前に翻した。

 

「顔は隠してあげるから、安心して」

 

 押し殺した声が、まるで顔中を濡らしていくようだ、ぐっと持ち上げられた両足が縛られていく。

 

「理非知らずさ」

 

 縛り上げられた両腿が痛い、

 

「次の挿入は深山にしよう」

 

 まるでアダルトの撮影だ、芋虫のように転がるしかなかった。

 すべての初めてを奪われることよりも裏切られた痛さが憎い。

 

 恥ずかしさより悔しさ、押し出すように無理に後屈させられた身体が軋む。

 

 思わず息を飲んだ、

 押し開かれた恥丘に生暖かい男の舌が入り込んでくる。

 

「マスターベーションはするの?」

 

 探すほどに小さな蕾みを探し当てるなり、毟り取られるほどに痛い。

 

「やめさせて」

 

 痙攣を覚えたように身体が震えて仕方がない、丸裸にされた雌しべが白く艶やかなほどに滑りを帯びて、今にも輝きを放ちそうだ。

 

「ほら、尖ってきてるよ」

 

 思わず口元がわなないた。

 指先で弾かれるたびに、男が力強く食らいついてくる。

 

「ほら」

 

 力任せに押し上げられた体操服から下着が顔をだすなり、男が馬乗りになった。

 頷くようにシャッターが切られていく、

 

「早く終わらせて」

 

 わななく口元から言葉が押し出されていった。

 

「もうやめて」

 

 恥ずかしさと高揚感が身体中を真っ赤に染め上げていくようだ。

 

「気持ちいい?」

 

 思わず頷いた、

 

「だったら、舌を出して」

 

 押し出された言葉が、ありありと感情を吐き出そうとする。

 

「泣いているほうが可愛いよ」


獲物 4

2009/01/11 10:44

 込み上げてくる吐き気に気圧(けお)されそうだ、押し込まれた舌が男の荒い息遣いに重なる。

 

 足元に転がり続けるストロボの残骸が、惨めな今を映し続けていた。

 今にも男の舌を押し返したい、息苦しく生温い滑た感触が身体中に鳥肌を立てる。

 

 脇から乳房へ、

 剥ぎ取られた下着から覗く素肌に粘りつく舌使いが足元をさらにとバタつかせた。

 

 まるで数珠繋ぎのように並べ替えられた写真が面白いほどに一枚のシーンになる。

 

 嫌気が差したように、男がどっかりパイプ椅子に腰掛けた。

 ほどかれた縄の変わりに首輪が嵌められる、引き上げられたリードに頬張るペニス。

 

 饐えた匂いが鼻先を突いた、

 

「諦めようか、振りでいいからさ」

 

 見慣れない開口器を前にうろたえるしかなかった。

 

「そう」

 

 あまりの引き攣れた痛みに小さな悲鳴が重なった、縄跳びを束ねたような鞭の音が空を切るようだ。

 

「ごっこ、では終わらないよ」

 

 鞭は細く重くなるほどに威力を増大させるものだ、革のベルトでは軽すぎる、何重にも革を巻きつけたものが一本鞭なら、これは即席の拷問だ。

 

 弾力を帯びないアクリル製のとび縄は安易に殴りつけるよりも効果がある。

 それを幾十にも手に巻きつけ振り下ろすだけで身体中に赤く腫れた傷跡を残すことができた。

 

 無抵抗なまでの後ろ手の状態、男がリードを離すなり裂傷になるほどに打ちつけた、

 今、モニターの向こうで今日を待つだろう男たちがたくさんいることに気づいていないだろう。

 

 智香は素直だった、今でも素直に僕の言うことを忠実に再現してくれる。

 

 か細く途切れたように吐き出した息遣いが悲鳴に聞こえる。

 

 痛みは強いほうがいい、

 声は痛くないからこそ出せるものだ。

 

 一つの鉄槌、後ろめたさがなによりもの拘束だ、言葉で縛るよりも安楽に異端者となれる。

 声を振り絞ったなら頬を打つ、これが本当のサディストだ。

 

 虚ろな視点、いい表情になってきた。

 

「ほら」

 

 男がリードを引き上げるなり、恐る恐るペニスを見上げた、誰だっていつか、一度は経験することだ。


 今さら覚えたところで、なにが悪い。


獲物 5

2009/01/12 08:11

 生々しいほどに舌をださせた。

 こすり付けるように、ペニスの先端が上下する。

 

 萎えるどころか、聳り立つばかりのペニス、非日常の今が、なによりものエクスタシーだ。

 

 大きく口を広げたまま舌をだした姿がどこか悲壮感が漂う。

 男のされるがまま、思わず口を閉じかけてはリードが引き上げられる。

 

「そのまま、いいよ」

 

 喉の奥まで頬張らせるなりの応用編だ、含ませた顔から苦渋の汗が流れ落ちていく。

 

「ほら、もっと舌を動かして」

 

 終わらない悪夢もそろそろ終わりだ、

 

 突き飛ばされた身体から嗚咽がこぼれた、だらりと抵抗を忘れた身体に打ちつけられた跡がさらにと欲情感を漲らせていく。

 

 甚振るように肉を躍らせた乾いた音が静まり返った室内に、仰け反った影を浮き上がらせてもいった、ただその音を頼りにシャッターを切る。

 

 裂けた傷口から新たな鮮血があふれるほどに、手を振りかざしては、男は満足げに身体中を舐めて(ねめて)は味わい深い今を楽しんでいるようだ。

 

 君が周りに与えた損害はこれ程度ではなかったはず。

 大きく両足が押し上げられるなり、か細い首に手がかかる。

 

 静かな夜明けだ、

 

 わななくほどに口元が揺れた、見開いた眼が挿入の深さだ。

 あまりの息苦しさに身体が仰け反るたびに、男の腰が荒々しく揺れる。

 

「ほら、入った」

 

 舌を押し出すような姿が、まるで陸にあがった魚だ、

 酸素を求めるように、わなないた口元から激しい激痛を訴えようとしても無駄だ。

 

 薄らいでいっただろう意識のなかで、男がすべてを吐き出した。

 

 智香はぜんぶ教えてくれる、いつ生理があったのかさえ、すべてを僕に教えてくれていた。

 だから、大丈夫――

 

 硬く閉じたままの扉が開くなり、生温いほどの風が、熱気の篭った体育館倉庫を少しだけ冷やしてくれる。

 

「ほら」

 

 夜風が運ぶ、舞い上がった札が、火照った身体を嫌と言うほど冷やしてくれるだろう。

 汚いものを拭き取るように身体中を濡れたタオルで拭き上げるなり男は出ていった。

 

 これが現実。

 

 

 卒業するまでの間になにができるだろうね。

 

「楽しみだ」

 

 

          了


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